失業保険受給中の「扶養」適用ルール|130万円の壁と国民健康保険への切り替え要件

退職後の社会保険手続きにおいて、配偶者や親族の「扶養(被扶養者)」に入ることで保険料負担を軽減しようと検討される方は少なくありません。

しかし、雇用保険の「失業保険(基本手当)」を受給する場合、受給期間中は原則として社会保険の扶養から外れる手続きが必要となります。

「年収130万円以下なら大丈夫」という認識で安易に扶養に入り続けると、後日、不適正加入とみなされ、医療費や保険料の返還請求といった重大なトラブルに発展する恐れがあります。

本記事では、失業保険受給時における扶養認定の基準(130万円の壁の実態)と、適切な切り替え手続きのフローについて解説します。

失業保険受給における「130万円の壁」と認定基準

社会保険(健康保険・厚生年金)の被扶養者となる要件には、「年間収入130万円未満」という基準が存在します。
失業保険を受給する場合、この「年収」の捉え方に注意が必要です。

判定基準は「基本手当日額3,612円」

社会保険上の収入認定は、過去の課税所得ではなく「向こう1年間の収入見込み」で判断されます。 したがって、失業保険(基本手当)も収入とみなされ、これを年額換算して判定が行われます。

具体的なボーダーラインは、年収130万円を日割り計算した以下の金額です。

1,300,000円 ÷ 360日 ≒ 3,611.1円

つまり、基本手当日額が「3,612円以上」の場合、受給期間中は「年収130万円相当の収入がある」とみなされ、被扶養者の認定基準から外れます。

扶養から外れる期間と再加入のタイミング

「扶養から外れる」といっても、退職後の全期間において扶養に入れないわけではありません。 失業保険の受給プロセスにおいて、収入が発生している期間のみが対象となります。

「待期期間」や「給付制限期間」は扶養継続が可能

ハローワークでの求職申込み後、以下の期間は失業保険が支給されない(収入が0円である)ため、被扶養者として認定されるケースが一般的です。

  1. 待期期間(7日間): 申請直後の期間
  2. 給付制限期間(1ヶ月等): 自己都合退職の場合の待機期間

ただし、健康保険組合によっては「受給資格決定の時点(求職申込み時)で削除」とする厳格な運用を行っている場合もあるため、事前に配偶者の勤務先へ確認することを推奨します。

受給終了後は再加入が可能

基本手当の受給が終了した、あるいは就職が決まらず支給期間が満了した後は、再び収入がない状態となるため、被扶養者として再加入の手続きを行うことが可能です。

社会保険(健康保険・年金)の切り替え手続フロー

基本手当日額が3,612円以上あり、扶養から外れる必要がある場合は、以下の手順で速やかに切り替えを行います。

  • ステップ1:
    扶養削除の申請 配偶者等の勤務先担当部署へ「失業保険を受給するため扶養から外れる」旨を申告し、手続きを行います。(被扶養者異動届の提出等)
  • ステップ2:
    国民健康保険・国民年金への加入 扶養から外れたことを証明する書類(資格喪失証明書等)を持参し、居住地の市区町村役場にて加入手続きを行います。
    • 健康保険:国民健康保険へ切り替え
    • 年金:第3号被保険者から「第1号被保険者」へ切り替え
  • ステップ3:
    受給終了後の再認定 受給終了後、再度扶養に入る場合は、改めて配偶者等の勤務先へ申請を行います。

税法上の扶養(所得税・住民税)との違い

ここまで解説した「社会保険の扶養」と混同しやすいのが、「税金(所得税・住民税)の扶養」です。この2つは全く別の制度であり、収入の取り扱いが異なります。

失業保険は「非課税」のため税扶養には影響しない

雇用保険の給付金(失業保険)は、税法上、非課税所得として扱われます。 したがって、失業保険として受け取った金額は、配偶者控除や扶養控除(いわゆる103万円の壁・150万円の壁)の判定における「合計所得金額」には含まれません。

  • 社会保険の扶養: 失業保険は収入に含まれる(3,612円基準で判定)
  • 税金の扶養: 失業保険は収入に含まれない

この違いを正しく理解し、それぞれ適切な申告を行う必要があります。

まとめ

失業保険を受給する場合の扶養認定については、以下のポイントを遵守してください。

  1. 自身の基本手当日額を確認する(3,612円以上か否か)。
  2. 基準額以上であれば、受給期間中は扶養から外れる手続き(国民健康保険・年金への加入)を行う。
  3. 手続きを怠った場合、遡及して医療費等の返還を求められるリスクがある。

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