退職後に失業保険(基本手当)の受給を検討する際、「申請した事実が元の勤務先に伝わってしまうのではないか」「再就職先に失業保険をもらっていたことがばれるのではないか」と懸念を抱く方は少なくありません。
特に、円満とは言えない形での退職や、精神的な不調(適応障害等)を理由に退職した場合、その後の動向を知られたくないと考えるのは自然な心理です。
本記事では、雇用保険制度における個人情報の取り扱いや、会社側が把握できる情報の範囲、およびハローワークから会社へ連絡が行くケースの有無について詳しく解説します。
失業保険の申請が勤務先に通知されることはあるか
結論から言うと、ハローワークから元の会社に対して「○○さんが失業保険の申請に来ました」といった通知が行くことは原則としてありません。
失業保険の申請には、会社が発行する「離職票」が必要です。
- 会社がハローワークへ「離職証明書」を提出し、離職票を作成
- 作成された離職票を会社が本人へ送付(通常2週間~1ヶ月程度)
- 本人が離職票を持ってハローワークへ行き、受給申請
会社が行うのはステップ2までであり、その後のステップ3の申請については、本人の自由意思に委ねられています。
そのため、会社側は本人が実際に申請を行ったかどうかを知る術はありません。
ただし、以下のケースでは、ハローワークから会社へ電話確認等が入る場合があります。
- 離職理由の相違: 本人と会社の間で「自己都合」か「会社都合」かの主張が食い違い、ハローワークが判断を下すために調査が必要と判断した場合。
- 不正受給の疑い: 在職中に失業保険を申請している、あるいは受給中に元の会社で働いている疑いがある場合。
これらはあくまで例外的な「事実照会」であり、通常の申請において連絡が行くことはありません。
失業保険の受給履歴は「再就職先」に知られるか
次に多い懸念が、「新しく入社する会社に、失業保険をもらっていたことがばれるのではないか」という点です。
転職先に入社する際、「雇用保険被保険者証」を提出しますが、ここには「前職の社名」と「資格喪失日」は記載されていますが、失業保険の受給履歴は記載されていません。
新しい会社がハローワークに対し、社員の過去の受給履歴を照会することは個人情報保護の観点から禁じられています。したがって、書類提出のみで受給の事実がばれることはありません。
早期に再就職を決めた場合、「再就職手当」を申請することがあります。
この際、新しい会社側に「採用証明書」を記入してもらう必要があるため、「再就職手当を申請しようとしている=失業保険の受給資格がある」ことは、人事担当者に知られることになります。
ただし、これは正当な権利行使であり、ネガティブな情報として扱われることは一般的ではありません。
ハローワークの守秘義務と個人情報保護
ハローワーク(公共職業安定所)は厚生労働省が運営する公的機関であり、職員には厳格な守秘義務が課せられています。
ハローワークが取得した個人の情報は、雇用保険の給付や職業紹介の目的以外に使用されることはありません。
たとえ元の会社から「〇〇さんは今どうしているか」と問い合わせがあっても、回答を拒否するのが通例です。
民間の転職エージェントを利用している場合も、ハローワークの受給状況が自動的にエージェントに共有されることはありません。自身で伝えない限り、第三者に情報が漏洩するリスクは極めて低いと言えます。
会社に知られたくない場合に注意すべき点
制度上は安全であっても、以下の行動から「失業保険をもらっている(いた)」ことが周囲に推測される可能性があります。
- SNSへの投稿: 失業認定日の様子やハローワークに通っていることをSNSに投稿し、元同僚に見られるケース。
- ハローワーク付近での遭遇: ハローワークは管轄が決まっているため、元同僚も同じ場所を利用している可能性があります。
- 再就職先での発言: 「失業保険をもらっていたから、しばらく休んでいた」といった会話から広まるケース。
プライバシーを保ちたい場合は、オンラインでの情報発信や周囲への不用意な発言を控えることが最も効果的な対策と言えます。
まとめ
失業保険の申請手続きは、本人とハローワークの間で完結するものであり、会社に通知が行く仕組みはありません。
- 元の会社: 離職票発行後の申請状況は把握できない。
- 再就職先: 受給履歴を照会することはできない(再就職手当申請時を除く)。
- 公的機関: 厳格な守秘義務により、第三者への情報提供は行われない。
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