退職後の転職活動では、「収入を途切れさせずに動くこと」が最重要だ。
雇用保険を活用すれば、給付金を受け取りながら再就職活動ができる。
さらに、早期に再就職すれば「再就職手当」という一時金が支給される制度もある。
このページでは、再就職手当の仕組み・申請方法・転職活動の効果的な進め方をまとめて解説する。
再就職手当とは?|失業保険を活用した早期就職支援制度
再就職手当は、失業保険(基本手当)の支給中に再就職が決まった人へ支払われる「就職促進給付」のひとつ。
目的は、早期就職を促すことで、失業期間の短縮を支援すること。
給付条件を満たせば、残っている支給日数に応じて最大70%の一時金が支給される。
(根拠:雇用保険法 第10章「就職促進給付」)
支給条件と申請の流れ
再就職手当を受け取るためには、以下の条件をすべて満たす必要がある。
- 待期期間(7日間)が経過している
- 自己都合退職で給付制限中ではない
- 残りの支給日数が3分の1以上ある
- 再就職先が1年以上の雇用見込みである
- 離職前と同一事業主ではない
- ハローワークまたは職業紹介事業者を通じて就職している
- 再就職が決まったら、ハローワークに報告
- 「再就職手当支給申請書」を受け取り、再就職先で記入・押印
- 書類をハローワークへ提出
- 雇用確認の後、約1〜2カ月で入金
※ 再就職を事後報告すると、支給対象外になるため注意。
支給金額の計算方法と具体例
再就職手当 = 基本手当日額 × 支給残日数 × 給付率(60〜70%)
| 支給残日数 | 給付率 | 備考 |
|---|---|---|
| 残日数が3分の2以上 | 70% | 最大支給 |
| 残日数が3分の1以上 | 60% | 標準支給 |
| 再就職タイミング | 支給残日数 | 給付率 | 支給額(目安) |
|---|---|---|---|
| 早期(残日数の3分の2以上) | 120日 | 70% | 約58万8,000円 |
| 中期(残日数の3分の1以上) | 80日 | 60% | 約33万6,000円 |
| 給付後期(残日数の3分の1未満) | 対象外 | ― | ― |
※ 計算式:7,000円 × 支給残日数 × 給付率
失業保険と再就職手当、どちらが得か?
| 条件 | 再就職手当 | 失業保険継続 |
|---|---|---|
| すぐ働ける | 有利(総支給が多い) | 不利(期間中収入なし) |
| 体調不良・療養中 | 不可 | 傷病手当金へ切替 |
| パート・短期雇用 | 対象外 | 継続可 |
再就職手当は「1年以上の雇用見込み」が条件のため、短期バイト・契約更新未定の仕事では対象外となる。
安定雇用が見込まれるなら、早期就職で再就職手当を受け取る方が総支給額は多くなる。
効果的な再就職活動の進め方
- 無料で職業相談・求人紹介・履歴書添削・面接対策が可能。
- 「職業訓練」を受けながら求職活動すれば、給付を受け続けられる。
- 職業訓練修了後に再就職すれば、追加の「就職支援給付」対象になるケースも。
- ハローワーク紹介を経由した就職でないと手当支給対象外になる。
- 転職エージェントを利用する場合も、ハローワークへ紹介依頼報告をすれば対象化できることがある。
- 説明会参加・求人応募・職業相談・面接は実績としてカウント可。
- 原則「月2回以上」の活動実績がないと失業保険が支給停止となる。
再就職後の手当・補助制度まとめ
| 制度名 | 内容 | 支給条件 |
|---|---|---|
| 職業促進定着手当 | 再就職後の給与が前職より低い場合に差額補填 | 再就職手当受給+6カ月継続勤務 |
| 常用就職支度手当 | 障害者・高齢者等が常用雇用で就職した場合に支給 | ハローワーク認定 |
| 移転費・広域求職活動費 | 遠方就職や面接時の交通費・宿泊費補助 | 条件付き支給 |
再就職手当をもらい損ねないための注意点
- 再就職を事後報告すると不支給になる。
- 「自分で見つけた求人」でも、事前にハローワークへ紹介依頼を出せば対象可。
- 給付残日数が少ない状態で再就職すると、支給額が減る。
- 再就職日・勤務開始日は、ハローワーク提出書類と雇用契約書で一致している必要がある。
まとめ|早期就職と正しい申請が収入最大化の鍵
- 再就職手当は、失業保険の「残日数」に応じて最大70%が支給される制度。
- 支給条件を理解し、ハローワーク経由での就職報告を確実に行うことが重要。
- 早期再就職ほど支給額が大きく、生活再建も早い。
- 正しい申請と計画的な転職活動が、退職後の収入最大化につながる。

