退職準備・再就職

退職前後の手続き完全ガイド|会社に返すもの・もらうものを整理し、雇用保険・健康保険・年金・住民税・所得税に関する手続きまで時系列で解説

退職前後の手続き完全ガイド|会社に返すもの・もらうものを整理し、雇用保険・健康保険・年金・住民税・所得税に関する手続きまで時系列で解説

退職前後の手続きは種類が多く、「何を、いつ、どこで手続きすればよいのかわからない」と不安になる方も多いです。
この記事では、退職を決めたものの何から手をつければよいかわからない方に向けて、退職前後の手続きを時系列で整理し、
「会社に返すもの」「会社から受け取るもの」「自分で行う手続き」をわかりやすく解説します。

雇用保険、健康保険、国民年金、住民税、確定申告など、退職後に必要となる主な手続きを一通り整理しています。
社会保険・労働保険実務者の視点から、実務上つまずきやすいポイントも含めて解説します。

執筆者紹介:山田 裕介

関西大学法科大学院修了後、社会保険労務士事務所で社会保険手続きや労務管理業務を経験し、現在は保険業界にて、正確性やコンプライアンスが求められる業務を担当。
社会保険労務士資格を保有しており、法務・労務・保険分野を中心に、事務業務や情報整理、資料作成などに従事。

目次
  1. 退職日当日にやること
  2. 会社に返却するもの
  3. 会社から受け取るもの
  4. 転職先が決まっている場合・決まっていない場合の違い
  5. 退職後すぐ(1〜5日以内)にやること
  6. 失業保険の手続きの流れ
  7. ハローワークへ持参するもの
  8. 自己都合退職・会社都合退職(特定受給資格者)・特定理由離職者の違い
  9. 特定理由離職者とは?
  10. 退職後14日以内にやること
  11. 健康保険は3つから選ぶ
  12. 傷病手当金の継続給付にも注意
  13. 国民年金への切替
  14. 住民税は想像以上に負担になること
  15. 退職後1ヶ月以内にやること
  16. まとめ

退職日当日にやること

退職日は最終出社日となるケースが多く、会社との間でさまざまなやり取りが発生します
特に重要なのは、「会社へ返却するもの」、「会社から受け取るもの 」 を漏れなく整理することです。
退職後に郵送対応になると手間が増えるため、事前にチェックリスト化しておきましょう。

会社に返却するもの

退職日当日(または最終出社日)には、以下のものを会社へ返却します。

返却するもの注意点
健康保険証(被保険者証)退職日の翌日から使用不可。扶養家族分も忘れずに返却
社員証・入館証・IDカードセキュリティ上返却必須。紛失すると罰則として弁済のおそれ
通勤定期券会社支給の場合は事前に要確認
名刺・社章会社資産として扱われるため全て返却
PC・携帯電話・事務用品・制服・鍵・カード類貸与備品は全て返却
業務資料・業務データ機密情報の漏えいのおそれがあるため必ず返却・削除
実務上のポイント

業務データを個人PCやクラウドへ保存したまま退職すると、情報漏えい問題につながるケースがあります。
退職前に必ず削除対応を行いましょう。

会社から受け取るもの

退職時には、退職後の手続きに必要な以下の重要書類を受け取ります。

受け取るもの用途
離職票(離職票-1・離職票-2)雇用保険(失業保険)の申請に必要
雇用保険被保険者証転職先での雇用保険の手続きに必要
健康保険資格喪失証明書国民健康保険への加入手続きに必要
基礎年金番号通知書国民年金または厚生年金の加入手続きに必要
源泉徴収票確定申告・転職先での年末調整の手続きに必要
退職証明書国民健康保険への加入手続きの際、健康保険資格喪失証明書の代用
実務上のポイント

離職票は、退職後10日〜2週間程度で届くことが一般的ですが、実際は遅れるケースも少なくありません。

特に、

  • 会社が社労士事務所へ委託している場合に書類提出が遅れている
  • 会社側の社労士事務所側の処理が止まっている

といったケースでは、発送まで時間がかかることがあります。


2週間以上経っても手元に届かない場合は、会社へ問い合わせをしましょう。
それでも届かない場合は、ハローワークから会社に催促してもらうことができます。
なお、離職票が届く前でも「仮手続き」としてハローワークで受給資格の確認を進められる場合があります。

転職先が決まっている場合・決まっていない場合の違い

退職後の手続きは、「すぐ転職するかどうか(空白期間がない)」で大きく変わります。

項目転職先あり転職先なし
失業保険原則不要手続き必要
健康保険転職先で加入国民健康保険・任意継続などの選択が必要
年金転職先で加入国民年金に切替が必要
住民税転職先で継続可能退職先の会社で一括徴収か自分で納付するか(退職時期により変わる)
所得税転職先で継続可能確定申告が必要
実務上のポイント

「転職先が決まっている=離職票不要」と思われがちですが、万が一、転職先で短期離職した場合に必要になるケースがあります。
可能であれば受け取って保管しておきましょう。

退職後すぐ(1〜5日以内)にやること

退職後は、できるだけ早く失業保険の手続きを進めましょう。
失業保険は、手続き開始が遅れるほど受給開始も遅くなります。

失業保険の手続きの流れ

  1. 離職票が届いたら居住地を管轄するハローワークへ行く
  2. 窓口で求職の申込み・受給資格の決定
  3. 7日間の待期期間
  4. 1か月の給付制限期間(自己都合退職の場合。退職日が2025年3月31日以前の場合は原則2か月)
  5. 失業認定後に支給開始

ハローワークへ持参するもの

  • 離職票(離職票-1・離職票-2)
  • マイナンバーカード
  • 本人名義口座がわかるもの(預金通帳・キャッシュカード)
  • 証明写真2枚(マイナンバーカード持参時は不要)
  • 印鑑

自己都合退職・会社都合退職(特定受給資格者)・特定理由離職者の違い

退職理由によって、失業保険の条件は大きく変わります。

区分給付制限主な特徴
自己都合退職原則1か月(2025年4月以降)自分の意思で会社を退職
会社都合退職(特定受給資格者)なし解雇・倒産等
特定理由離職者原則なし病気・介護等

特定理由離職者とは?

以下のような「やむを得ない理由」で退職した場合は、
特定理由離職者として扱われる可能性があります。

  • 長時間労働:離職前の直近3か月で月45時間超の残業があった場合
  • ハラスメント:職場のハラスメントが原因で離職した場合
  • 契約満了:有期雇用契約が更新されなかった場合
  • 病気・メンタル不調:ケガや病気により働き続けることが困難になった場合
  • 家族の介護:家族の介護により退職せざるを得なかった場合
  • 妊娠・出産・育児:これらの事情により退職せざるを得なかった場合
  • 配偶者の転勤:配偶者の転勤に伴い通勤が困難になった場合
実務上のポイント

離職票に記載される離職理由は、原則として会社が記載します。
しかし、その理由に異議がある場合は、ハローワークに申し立てをすることができます。
実際に正当な理由がある退職であれば、証拠を持ってハローワークに相談しましょう。
離職理由が認められると、会社都合退職(特定受給資格者)や特定理由離職者として扱われる可能性があります。

退職後14日以内にやること

退職後14日以内は、特に重要な手続きが集中します。

手続き届出先期限
国民健康保険加入市区町村役所14日以内
国民年金切替市区町村役所14日以内
任意継続加入していた健康保険組合または協会けんぽ20日以内

健康保険は3つから選ぶ

退職後の健康保険は、以下から選択します。

制度メリットデメリット
国民健康保険減免・猶予制度あり保険料が所得連動(所得が高ければ不利)、扶養家族分も加入必要
任意継続保険料が一定、扶養家族分の追加負担なし全額自己負担(在職中は会社と折半だったため、約2倍になる)、最長2年間
家族扶養保険料負担なし扶養家族の年収条件あり
実務上のポイント

退職後に最も比較が必要なのが健康保険です。

特に、

  • 扶養家族が多い
  • 前年度の年収が高い
  • 会社都合退職

などの場合、保険料が大きく変わります。
会社都合退職の場合は、国民健康保険料が軽減されるケースもあるため、
市区町村窓口で試算して比較しましょう。

傷病手当金の継続給付にも注意

退職前から傷病手当金を受給している場合は、
一定条件を満たすと退職後も継続受給できる場合があります。

主な条件

  • 退職日時点で労務不能
  • 継続して1年以上健康保険に加入
  • 退職前から傷病手当金を受給している
実務上のポイント

傷病手当金受給中は、失業保険との同時受給ができないケースがあります。
メンタル不調や体調不良による退職では、特に重要な論点です。

国民年金への切替

退職後に厚生年金を抜ける場合は、国民年金への切替が必要です。

必要なもの

  • 基礎年金番号通知書
  • 退職日がわかる書類(離職票・退職証明書)
  • マイナンバーカード
  • 印鑑
実務上のポイント

失業中で保険料の支払いが難しい場合は、

  • 全額免除
  • 一部免除 (4分の3免除・半額免除・4分の1免除)
  • 納付猶予

などを利用できる場合があります。
未納放置は将来の年金額や障害年金に影響するため注意しましょう。

住民税は想像以上に負担になること

住民税は前年所得に対して課税されます。
そのため、退職後に収入がなくなっても支払いは継続します。

退職時期住民税
1~5月退職退職月から5月分までの住民税が最終給与から一括徴収
6~12月退職退職月の翌月以降分は普通徴収に切り替わり、自治体から届く納付書で自分で納付
実務上のポイント

失業中で保険料の支払いが難しい場合は、

  • 全額免除
  • 一部免除 (4分の3免除・半額免除・4分の1免除)
  • 納付猶予

などを利用できる場合があります。
未納放置は将来の年金額や障害年金に影響するため注意しましょう。

退職後に最も多いトラブルの一つが、「住民税が高すぎる」というケースです。
前年度の年収ベースで計算されるため、退職後でも高額請求になることがあります。
退職前に住民税の年額を確認しておきましょう。

退職後1ヶ月以内にやること

① 失業保険申請後は、ハローワークの初回説明会へ参加

ここでは、

  • 受給資格者証の交付
  • 失業認定の説明
  • 今後の日程案内

などが行われます。

② 再就職手当を確認

給付日数を多く残して再就職すると、再就職手当が支給される場合があります。
早めに転職活動を始めることで、金額面でも有利になるケースがあります。

③確定申告が必要なケースを確認

以下に該当する場合は、確定申告が必要になる可能性があります。

  • 年内に再就職をしていない
  • 医療費控除を受ける
  • 退職所得申告書を未提出
  • 副業収入がある

必要書類

  • 源泉徴収票
  • 保険料控除証明書
  • 医療費領収書
  • マイナンバーカード
実務上のポイント

年途中に退職した場合、所得税が多めに天引きされているケースがあります。
確定申告によって還付金を受け取れる場合も多いため、忘れず確認しましょう。

まとめ

退職後の手続きは、「会社へ返却するもの」、「会社から受け取るもの」、
「自分で行う手続き」に分けて整理すると、かなり分かりやすくなります。

特に重要なのは、

  • 離職票を受け取る
  • 健康保険を切り替える
  • 国民年金の手続きをする
  • 住民税の支払い準備をしておく

この4つです。
また、退職理由によって失業保険の条件や給付制限が大きく変わるため、
「自己都合」、「会社都合」、「特定理由離職者」の違いは必ず確認しておきましょう。

離職票の遅延、健康保険の比較、住民税の負担などは、実際に多くの方がつまずくポイントです。
不明点がある場合は、会社・ハローワーク・市区町村窓口へ早めに相談することが大切です。

退職後の手続きは数が多いため、まずは

  • 会社とのやり取り
  • ハローワークでの手続き
  • 市区町村での手続き
  • 税金関係の手続き

の4つに分けて整理すると、全体像がかなり把握しやすくなります。
「今、自分はどの手続きを進める段階なのか」を時系列で確認しながら、一つずつ進めていきましょう。

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